ロミオは、ふたりいない。
「木々羅は
片思いじゃなきゃ…ダメなの…?」
「え…」
「両思いじゃ、ダメかな?」
「…両思い?」
「うん…」
「え…」
「別れた時も
好きだった…
…
別れてからも…
忘れられなかった
…
あの時…
告白して
フラれて諦めるつもりだったのに…
…
一度彼女にしたら
どんどん好きになって…
…
…
今でも…
今でも諦められない
…
またいつも、ここから見てた
木々羅のこと…」
「…」
ドキン…
廣永…
「ごめん…
オレが別れようって言ったのに…
…
勝手だよね…」
廣永…
「廣永…
寒いのに…
寒いのに、こんな所から見てないで…
…
もっと私の近くに来てよ…
…
…
手、繋いでよ…
…
私も…寒いよ…」
ドキドキ…ドキドキ…
久しぶりの
廣永の手
優しい手
「木々羅の手、冷たい…」
「うん…
廣永の手、温かい…
…
廣永が隣にいないと、寒いよ」
ドキドキ…ドキドキ…
「寒いのに、さっき冷たいの飲んでたじゃん」
「うん…見えた?
私の好きな人がいつも飲んでるから…」
私の好きな人の手は
温かいよ
私の好きな人は
温かい人だよ
冬なのに
日向みたいに
ポカポカしてる
優しくて
隣にいると
癒やされて
いつも私は
幸せになるんだよ