ロミオは、ふたりいない。

ドーン…ドーンドーンドーン…


花火の音も



「あの子、ナルくんと同じクラスの子だよね

ヒロくんには、もったいないよね
ヒロくんなら、もっとかわいい子いるのに…

彼と花火なのに
もっとかわいい格好すればいいのに
地味だし…

ヒロくんがかわいそう

もしかして
ヒロくん狙いでナルくんと仲良くしてたの?
ヒロくんとナルくん仲いいもんね!
だから、靴隠されるんだよ」



「…なんで?
なんで、靴隠されたこと知ってんの?」



「…」



「あと…
ごめん、オレ
人の悪口いう子、ムリだわ…」



「ナルくん、私じゃないよ…靴隠したの」



「うん、別に疑ってないけど…」



夏の暑さも



「ナルくん、ごめんね」



全部



「別れよう…」



「ナルくん、なんで?」



全部



「謝っても
さっきの言葉は、取り消せないよ

ごめんね…
好きになれなかった」



全部

嫌になった



好きじゃない子と付き合うの

限界だった



木々羅がユートの隣で

楽しそうに笑うの

嫌だった




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