夏を殺して。
いつもみたいに、暑くて暑くて死にそうな教室で、下敷きに手を伸ばした。
「死んじゃう」
人間を食べるヒトがいるなら、わたしはいま、ちょうどいい塩加減だ。
でも、ちゃんと臭み抜かないとダメ。
そりゃそーだ。誰だって。うん、当たり前。
「吉田、聞いてる?」
「きーてるよ」
かすれた声が出た。情けない声。バカみたいだ。
今朝のセミは、潰された時死んでいたんだろうか。
それとも、生きたまま潰されてしまったんだろうか。