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初めて読んだのんさんの本かな…? 『夏を殺して』誰に言ってるんだろう?って思って読んでみたら…そんなこと忘れるくらい物語に集中した! 最初から最後まで、飽きることなく何度も読める!
いつも通りセミがうるさくて、いつも通り何匹かのセミが死んでいて、その中の一匹が 「かわいそう」だった。 「ねえ、吉田」 ──俺、彼女できた . 作者さんのえがく生命の話、夏の残酷さ、失恋の感情──すべてがすきです。 6ページ最後の3文がだいすきすぎます。 きっと、この作品を読むことでしか、この感情になれない──そんな想いがうまれます。 タイトルと最後の1文。比べて、さらに、切ない。 夏といったらこの作品を思い出します。
夏は残酷だと思う。 そこから始まる物語。 たった七ページなのにも関わらず、言葉に詰め込まれた夏は深く、そして複雑な恋心は繊細な表現で紡ぎ出されていました。爽やかなだけじゃない。熱気に包まれた私はそっと本作品を閉じ、脳裏に浮かんだあの夏を想った。 まるで私の心を代弁してくれているような、そんな柔らかくも脆い物語。惹かれてしまう、綺麗な描写。この作品の全てが私の心を奪いとった気がしました。 ラストシーンは最後の可愛い仕返しのように感じ、だからこそ、終わりを告げているようで……無気力感だったり、それとは反対に感情がいきなりこみ上げてきたりする、あの悲恋の味を思い出しました。まるで、しょっぱくて苦い汗のよう。まさに夏の象徴だな、と。 今だけは私だけを考えていて。そんな恋焦がれてやまない気持ちが暑い空気に溶け込んでいました。 早く彼女の夏がなくなりますように そう願わずにはいられなかった。