■王とメイドの切ない恋物語■
エリックが、バラを集めてきて、私が花びらをほぐし、カゴに入れた。

花びらを傷つけてはいけないし、花びら以外の葉っぱなどを混ぜてもいけない。


思ったより、大変な作業だった。

途中で、ふいにエリックがこっちを振り向いた。

「トゲに気を付けて」

「はーい」




もう7月だ。エリックは、ひたいに汗をかいている。

真っ白なシャツを腕まくりしてて、たくましい腕が、そこから見える。

時折、エリックと目が合い、お互いに微笑み返した。

作業は大変だけど、二人でがんばれることが、楽しかった。

「ふぅーっ 終了ーっ」

私たちは、一息付いた。

時間を見ると、11時をまわっていた。

「ありがとう、リリア。助かったよ」

エリックが、汗をぬぐった。

「いいよー、いつでも言ってね」

「おうっ ありがとう。リリアと一緒に作業できたから、楽しかったよ」

「あははっ 私も~ いい汗かいたぁー」

エリックが立ち上がった。

「リリア、ちょっと待ってて」

そう言うと、エリックは、どこかに走っていった。

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