■王とメイドの切ない恋物語■
その時、ポンポンと肩を叩かれた。

顔を上げると、いつの間にか、チチリさんが隣に立っていた。

チチリさんの視線は、トーマ様とエリザベス姫に向いていた。

私が二人を見て、落ち込んでるのがわかって、励ましに来てくれたんだ。



「ありがとう…」

私がつぶやくと、

「うん」

と、うなづいて、チチリさんは持ち場に戻っていった。



そうだよね、最初から身分の違いがあることなんてわかっていたことだもの。

暗い顔してちゃ、ダメだよね。

エリザベス姫のお誕生日なんだし、笑顔でお祝いしてあげなきゃ。

私は、トーマ様がエリザベス姫から離れて、食べ物をとりに行った時、そっとエリザベス姫に近づいた。

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