■王とメイドの切ない恋物語■
私は、テラスにむかった、トーマ様とエリザベス姫を見つめていた。

エリザベス姫、今から告白するんだね。

胸が、締め付けられた。

私は、二人の様子が気になったけど、あえてそっちを見ないようにした。

結果を知るのが怖い。

トーマ様は、本当にエリザベス姫のことを、何にも思っていないのだろうか?

私は、空いたお皿をワゴンに片付けていった。

マーヤさんの指示を受け、私は皆さんに飲み物を配り始めた。



「飲み物は、いかがですか」

「ありがとう。これをもらうよ」

「飲み物は、いかがですか?」

「こちらをいただくわ」

「飲み物は…」

今日は他のお客様も来ているので、会場内は、すごい人だ。

私は、お客様達にぶつからないように、慎重に足を進めた。



ようやく端の方にある、ピアノの辺りまで、たどり着いた。

もう赤ワインが少なくなってきている。

戻って、補充してこなきゃ。

私はまた、人混みの方に足を進めた。

ふと目の前の人が、立ちふさがっている。



「失礼します」

私はお礼をして、横を通り抜けようとした。

が、通してくれない。

私は諦めて、違うところへ向かおうとすると、

「ねぇ」

呼び止められた。

どこかの貴族だろうか?


身なりはきちんとしているけれど、少しお酒を飲み過ぎているようだった。
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