■王とメイドの切ない恋物語■
私達は、手をつないだまま、廊下に出た。

廊下は、誰もいない。



「もう大丈夫だ」

と、振り返ったトーマ様は、笑顔で私を見た。

「ありがとうございました!」

私は深々お礼した。

心臓はバクバクだ。


ウソでも、私のことを大切な人って言ってくれて、すごい胸がキュンとした。

その上、手までつないでくれて、私はもう、とろけそうだった。



トーマ様は、優しく私の頭をなで

「怖かっただろ」

そう、つぶやいた。

優しさが胸にしみる。

「はい、少しだけ…」

正直、すごく怖かった。

だけど、トーマ様と恋人ごっこできたし、手もつな
げたし、今はサーバスに少し感謝している。



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