■王とメイドの切ない恋物語■
そして、昼になった。


エリザベス姫の身仕度の手伝いも終わり、みんなでエリザベス姫を見送るため、門の前に整列する。


エリザベス姫は、お世話になったマーヤさんや、家来の人たちに、笑顔でお礼を言っていた。


この1週間、色々あって、辛いことも、たくさんあったけど、得るものは大きかったと思う。


エリザベス姫は、笑顔でトーマ様と話している。

泣いて、もうふっきれたのだろうか?


エリザベス姫は、1通りあいさつを終えると、正面を向いた。


門へ続く道の両サイドには、メイドや、家来の人々、使用人など、ずらりと並んでいる。


エリザベス姫は、その間を1歩1歩、踏みしめるように歩いていった。


エリザベス姫にとっても、このお城に滞在した1週間は、思い出深いものとなっただろう。


エリザベス姫が、私の横を通り過ぎるとき、ぽつりと言った。

「トーマ様を頼んだわよ。リリア以外の女は、わたくしが認めなくってよ」


そう言うと、私を見つめた。


応援してくれるエリザベス姫の気持ちが、うれしかった。


私が、はい!と、頷くのを見届けると、にこっと笑い、エリザベス姫は向こうにある迎えの馬車に乗り込んだ。



私は、深々と礼をした。

こうして、エリザベス姫は、自分の城に帰っていった。

嵐のような1週間は、幕を閉じた。


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