■王とメイドの切ない恋物語■
お城の入り口で、待ち合わせである。

待ち合わせ時間より、15分も前に着いてしまった。

今からトーマ様と2人きりだと思うと、うれしくて仕方ない。

私は天井を見たり、庭の方を見てみたり、ソワソワしっ放しだ。




ふと見ると、トーマ様がこっちに向かって歩いてくる。

トーマ様だっ

私は、にやける顔を何とか押さえながら、お辞儀した。



「すまない、待たせたな」

と、トーマ様が近寄ってきた。

相変わらず、めちゃめちゃかっこよくて、素敵だよ。

「私が早く着きすぎたので、気にしないでください」

私がそう言うと、トーマ様は微笑んだ。

「よかった。リリア、じゃあ行こうか」

「はいっ」

私は元気よく返事し、トーマ様の後を着いていった。





少し歩いて、庭と逆の方向に、トーマ様が歩いて行っていることに気が付いた。

「あの、トーマ様?庭でランチされるのでは?」

トーマ様は振り向き、

「あぁ、もっといい場所があるから、そこにしようと思うんだが、いいか?」

と、聞いてきた。私は、

「どちらでもかまいません。トーマ様のお好きな所になさってください」

そう、笑顔で答えた。

トーマ様は軽くうなづき、進んでいった。

着いたところは、馬小屋だった。

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