■王とメイドの切ない恋物語■
「素敵なところですね」

私は、うっとり周りを見渡した。


湖は透き通っていて、とてもきれいだ。

湖面が、キラキラ輝いている。

小鳥の鳴き声や、木の葉のサワサワなる音も聞こえる。


夏なのに、ここは涼しい風が吹き抜けていて、心地よい。



私達は、木陰に座り、昼食にすることにした。

私は、作ってきた、お弁当を広げた。

トーマ様は、うれしそうに、その様子を見ていた。

その姿を見て、私もうれしくなった。




準備が整ったので、

「トーマ様、お召し上がり下さい」

と、勧めるとトーマ様は、うなづき、

「いただきます」

と、手を合わせてからサンドイッチに手を伸ばした。

またその姿が、いつもと違って可愛い。




好きな人に自分の作ったものを食べてもらうのは、本当に緊張する。

どうか、どうか、トーマ様のお口に合いますように。

私は祈るような気持ちで、トーマ様を見つめた。

トーマ様も、私を見つめた。




「うん!おいしいよ、リリア。ありがとう」

そう言って笑ってくれた。

やったー!!

私は、心から、ほっとした。




「リリアも、食べないのか?」

トーマ様は、不思議そうに、こっちを見た。

「私は…仕事中なので」

と断ると、トーマ様は笑い出した。
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