■王とメイドの切ない恋物語■
私が首をかしげると、トーマ様は、

「リリアは本当に真面目だな。今日は夕方まで2人きりなんだ。遠慮しなくていいよ。リリアと、わたしは年も同じくらいだろう?」


「はい、今年19歳になります」

「私は今年20歳だ。歳も1歳しか変わらないし、お城に戻るまで、遠慮はなしにしよう。やはり王をしていると、堅苦しい付き合いばかりで息が詰まりそうなんだ。今だけでも、そういうかしこまったのを忘れたい。駄目か?」

そうだよね。

トーマ様だって、好きで堅苦しい生活してるわけじゃないもんね。

マーヤさんも、今回の昼食がトーマ様の気分転換になればいいって言ってたし・・・

トーマ様の提案に、のってみようかな。

「はい、では、そのようにいたします」

そう言って、礼すると、

「リリア、まだまだ堅いよ。普通の友達のように接してくれればいい」

そんなーっ いきなり無理、無理。

でも、トーマ様の願いだし…

うーん。

うーーん…

がんばってみるか。



「はい、でも一応敬語だけは、使わせてくださいね。後は、がんばりますから」

トーマ様は笑って、

「わかったよ」

と言ってくれた。




トーマ様の提案のおかげで、少し緊張がほぐれてきた気がした。
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