■王とメイドの切ない恋物語■
おやつのパウンドケーキも食べおわり、トーマ様を見ると、うーんと伸びをしている。

そんなところが、また可愛い。

あー、本当に大好きだよ。



私が、トーマ様を見つめていたのがわかったのか、トーマ様もこっちを見た。



正面から見ると、本当に整った顔だなと思う。

特に目が好き。

トーマ様の目はいつも優しそうで、それでいて、しっかり前を見つめている気がする。



って、この黙って見つめ合うのって、むちゃくちゃ恥ずかしいんですけど。

最初に見つめてた、私が悪いんだけどさ。

だんだん、照れてきた。

耐えられなくなり、私の方から視線を外す。



「リリアって面白いな。表情がコロコロ変わる。見てて飽きないよ」

トーマ様が笑った。

なっ

「トーマ様、それって誉め言葉ですかー?」

私が冗談っぽく絡むと、

「あはは、もちろんだよ」

と言いながら、後ろを向いて笑いをこらえている。

私は、もう!と言いながらも、トーマ様とこうやって絡めて、すごく嬉しかった。

普段こうやって、気軽に話すことなんてないもの。

トーマ様。

こうやって少しずつでいいから、あなたとの距離を縮めたいな。

大好きなトーマ様と、近づきたいよ。

もっと色んな姿見せて。

あなたの全部を好きになりたいから。

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