■王とメイドの切ない恋物語■
「リリア、散歩でも行こうか」

愛しい人の声が聞こえる。

「はいっ」

私は元気よく返事し、トーマ様と一緒に散歩した。


トーマ様といると、

楽しくて、嬉しくて、あっという間に時間が過ぎる。

木や花や草。全てが輝いて見えた。



「そろそろ戻らなきゃな」

トーマ様が、空を見た。

空は、うっすらオレンジに、なりかかっていた。


「はい、支度しますね」

私は、荷物を片付けはじめた。

すごい名残惜しいよ。

私とトーマ様は、また馬に乗り、お城へ帰る。

「トーマ様、今日はありがとうございました。素敵な所でランチ出来て、本当によかったです」

馬はゆっくりとお城に向かっていた。

夕方の風が、心地よい。

「わたしも、楽しかった」

トーマ様は、前を見つめたまま言った。

一呼吸おいて、



「また来ような」

と優しい声が聞こえた。



うん、また来たい。

トーマ様と二人で。


「はい」

私は、遠くに見えるお城を眺めながら、頷いた。


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