■王とメイドの切ない恋物語■
「何でエリックが、ここに出てくるんですかーっ」

私が、突っ込むと、

「あら、エリックに花束もらってたじゃない」

と、チチリさんはニヤニヤする。


「あれは、ただのお礼でもらったんだもん」

私が反論すると

「あの花はね、好きな人に告白する時に渡す花なの。庭師のエリックが、それを知らないわけないじゃない」


「えっ!そうなんですか?でも…告白されたわけじゃないし」

私が、つぶやくと、

「エリック、リリアに好きな人がいるって知らないの?」


「知ってます…」

それが誰かまで、知ってたりするんだよな。


「だから、打ち明けにくいだけじゃないの?」

チチリさんはそう言うと、紅茶を用意しはじめた。

そうなのかな?

エリック…





「それはそうと、リリア、夏休みの予定は?」

私は、首を振る。

「夏休みがあることすら知らなかったので、ノープランです」


「そう、じゃあさ、海行かない?今日のお昼に、夏休みは、みんなで海行こうよってなったんだけど」



海!?私の目が輝いた。

「行きます。絶対行きます!海、行ったことないんです。海、見てみたいな」

チチリさんは、紅茶を渡しながら、


「おっけーい、じゃあリリアも参加ね。楽しみだね」

と、はしゃいだ。


海って、どんなところだろう?

私は、夏休みが、とても楽しみになった。
< 181 / 396 >

この作品をシェア

pagetop