■王とメイドの切ない恋物語■
「理由も…教え て、くれないん…だよ?おかしいよね、急に…さ。結婚するって、迎え…に来てくれるって言ってたの…に」


チチリさんの目から、次々涙が溢れてくる。


私は、たまらなくなって、チチリさんを抱き締めた。


「リリア…」



チチリさんは、もう涙を拭おうとはしなかった。

私の腕の中で、たくさん、たくさん泣いた。


涙が枯れるまで泣いた。

私はその間、ずっとチチリさんの頭を撫でていた。



なんで、どうしてチチリさんが、こんなことにならなきゃいけないの?


だって、すごく仲良かったじゃない。

いっぱいデートしてたじゃない。


愛してるって、言ってもらってたじゃない。


こんなのおかしいよ。


勝手に婚約破棄して、理由も言ってくれないなんて…

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