■王とメイドの切ない恋物語■
「どうぞ」

そう言って、コーヒーの入ったカップを渡してくれた。

「ありがとうございます」

私はお礼を言って、コーヒーを一口飲んだ。



ルアンさんも一口飲み、

「リリアちゃんか、いつもチチリから聞いてたよ」

と言い、もう一口コーヒーを飲んだ。



「あの…」

私が言いかけると

「チチリから聞いたんだよな?」

ルアンさんが、つぶやく。

私は、うなづいた。


「全部聞きました。理由も教えてくれなかったって…。チチリさんと、結婚の約束してたんですよね?どうして、そんなひどい別れ方するんですか?」

私は、一気に話した。

やっぱり、そんな別れ方ひどすぎるよ。

チチリさんが可愛そうだよ。


きっと今も部屋で1人で泣いていると思う。


そう思うと、やっぱりルアンさんが許せなかった。


ルアンさんは、カップをテーブルに置き、私のほうに静かに向き直った。
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