■王とメイドの切ない恋物語■
ルアンさんは目を閉じた。

「チチリのこと、嫌いになったわけじゃないんだ…。今でも愛している」

え?

「だったらどうして…」

私は、ルアンさんを見つめた。

「俺には、昔から夢があったんだ。パン屋になりたいという、自分の店を持ちたいという夢が。早くチチリを安心させたくて、この店に就職したんだけど、やっぱり夢を諦められなかった」


私は、静かに聞いていた。

前にチチリさんが、ルアンはパンを作るのが、大好きなのよって言ってたのを、聞いたことある気がする。

ルアンさんは、辛そうに話した。

「パン屋なんて、お客が入るかどうか、やってみないとわからない。安定した収入になるまで、何年かかるか。もしかしたら、失敗して店を閉じなきゃならなくなるかもしれない」


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