■王とメイドの切ない恋物語■
お城に着くと、ルアンさんは、門の所で待ってもらった。

関係者以外は、難しい手続きをしないと、お城に入れないからだ。

私は、チチリさんの部屋に走っていった。

チチリさんの、部屋のドアを開ける。


中で、チチリさんが、ベッドに、うつぶせていた。




「チチリさん!」

チチリさんは、ちらっとこっちを見て、起き上がった

「あ、リリア。もう私は大丈夫だから。ちょっと眠くて横になってただけだから」

うそ。

目が、真っ赤じゃない。

また泣いてたんだね。

胸が痛くなる。


「チチリさん、門の所で、ルアンさんが待ってます」


「え?」

チチリさんは、戸惑った顔をしている。


「会いたくないかもしれないけど・・・、行ってあげてください。全部、話してくれるって。このままじゃダメだよ」


二人でありのまま、思ってること、ぶつければいいじゃない。

そうだよ、二人ならきっと、乗り越えれるよ。




チチリさんは、目を伏せていたが、決心したように頷いた。

「うん、行ってくる!」

ドアノブに手をかけて、私を振り向いた。

「ありがと」 

私は、無言で頷いた。


チチリさんは、ルアンさんのもとに走っていった。
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