■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様は顔をあげ

「リリアが見えたから、来てみただけだよ」

優しい声で答えてくれた。

私を見る眼差しが、あたたかい。

私がいるのが見えたから、来てくれたの?

それって、すごく、うれしい。


「そうなんですか、なんだかうれしいです」

正直な気持ちが、ポロッと出てしまう。

私は、またドキドキし始めた。

中庭に見えたのが私だから、来てくれたのかな?

中庭にいたのが他のメイドの子だったら、トーマ様は、どうしただろう?

声かけに来たかな?

と、少し自分の都合の良いように考えてしまう。

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