■王とメイドの切ない恋物語■
私は、びっくりしてトーマ様を見上げた。

「寒いだろう。それでよかったら、着てなさい」

トーマ様…優しいよ。

めちゃくちゃ優しい。

「ありがとうございます」

私は頬を赤らめながら、トーマ様を見つめる。

うれしすぎるよ。

そういえば…

「二回目ですね、トーマ様に上着借りたのは。いつも迷惑おかけしてすみません」

本当、私ってトーマ様に迷惑かけっぱなしだ。

トーマ様は、少し照れ臭そうに

「迷惑なんかじゃないさ。ワンピース、その…よく似合ってる」

言い終わると、向こうを向き、咳払いしている。

もしや…照れてる?

そんなわけないか。
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