■王とメイドの切ない恋物語■

部屋で

「どうぞ」

トーマ様が、ドアを開け、エスコートしてくれる。

こういう風に、女の子扱いされたことが、あまりないから、すごい照れて、これだけでドキドキしてしまう。



「トーマ様、ありがとうございます」

私は部屋の中に、入っていった。


ソワソワ。

いやー、やっぱり緊張するよ。

うわー、やっぱり本が大好きなんだね。

壁一面が大きな本棚になっていて、たくさんの本が並んでいる。

これ、全部1人で読んだのかな?

ふと、トーマ様を見ると、自分の机の上に飾ってあった、写真たてを、伏せていた。

ん?

何か、見られるとまずいものが、写っているのかな?


気になる。

めちゃくちゃ気になる。


「ああ、これ?」

トーマ様が、写真縦に手を置いた。

「わたしの宝物が入ってるんだ」

「宝物?」

「そう。これを見ると頑張ろうって思えるんだ」

ますます気になるよー。

「いずれわかるよ」

トーマ様は、私を優しく見つめ、それ以上何も言わなかった。

< 231 / 396 >

この作品をシェア

pagetop