■王とメイドの切ない恋物語■
私は、ぐっと手に力が入った。

トーマ様は、優しく私を見つめ続けている。


「あの…」

「わたしは、ずっと、正式な王になったら、気持ちを伝えようと思ってたんだ」

私は、息をのんだ。

ドクン ドクン

私の心臓が、大きく鼓動しはじめた。

周りの空気が、張り詰める。

トーマ様の綺麗な優しい瞳が、私を見ている。

私の緊張は、最高点に達した。

次の瞬間




「ずっと好きだった」

トーマ様の心のこもった1言。

私は嬉しくて、涙が出そうになった。


「トーマ様…」

身体の芯が、熱くなってくる。

私も…私もトーマ様が好きだよ。

大好き…


トーマ様は、思い出すかのように、空を見上げた。

「リリアがお城に来て、会話するようになって、ますますリリアのことが気になって仕方なかった。少しでもリリアのそばにいたかった」

トーマ様の言葉1つ1つが、私の胸に響いていく。

私もだよ。

私も、少しでも近くにいたかった。

トーマ様が、もう一度、私を見て言った。




「リリアが、誰を好きでも、かまわない。わたしは…リリアが好きだ」
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