■王とメイドの切ない恋物語■
私は、嬉しすぎて言葉にならない。

少しの間、沈黙が起こる。


トーマ様は、真剣な表情で私を見ている。

私は、勇気を振り絞った

「私も…私もトーマ様が好きです」

私がそう言った瞬間、ふわっとトーマ様に抱き締められた。

「リリア…」

「トーマ様…」

ようやく、二人の思いが、通じあった瞬間だった。





嬉しくて、すごく嬉しくて、私の頬を涙が伝う。

トーマ様が、それに気が付き優しくぬぐってくれた。

幸せすぎて、どうにかなりそうだ。

トーマ様、本当に好き。

大好きだよ。

私は今、大好きなトーマ様の胸のなかにいる。

トーマ様の、いい香りに包まれている。

ぬくもりを感じる。

しばらく抱き合って、ふと顔をあげると、優しく微笑んだトーマ様がそこにいた。

私の頭をナデナデしてくれる。

もう、とろけそうだよ。




「リリアも、わたしのことを好きだったなんて、夢のようだよ」

トーマ様の、甘い声が聞こえてくる。

「私もです」

お互い見つめあって、くすっと笑った。

あー、本当に幸せだ。

まさか、トーマ様に告白されるなんて。

信じられないよ。

< 259 / 396 >

この作品をシェア

pagetop