■王とメイドの切ない恋物語■
マーヤさんの計らいで、私はトーマ様のテーブルの担当もやっている。

あ、今、トーマ様のまわりに誰もいない。

チャーンス!




私は何げに、トーマ様のテーブルに近づく。

「お下げしてよろしいですか?」

私は、トーマ様のお皿が空なのを確認して言う。

「あぁ」

素っ気ない返事だが、皆にばれたらいけないので、仕方ない。

ふと見ると、テーブルの下で、小さな紙切れが差し出されている。

私は皆にばれないように、そっと受け取った。

歩きながら、ポケットにしまった。

何て書いてあるんだろう?

私はドキドキしながら、裏に回った。

もらった紙を、そっと開いてみる。

見慣れた、まーくんの綺麗な文字が並んでいる。






リリアへ
終わったら会いたい。よかったら屋上へ来てくれ
トーマ





トーマ様…

すごいうれしい。

2人で会えるんだ。

会いに行くに決まってるよ。

私はメモを再びポケットに戻し、仕事に戻った。
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