■王とメイドの切ない恋物語■
「マーヤさん、花、摘んできました」

早足で帰ってきたから、息がきれる。


「おかえり。じゃあ早速で悪いんだけど、パーティ会場の花瓶に、花をいけてきてくれるかしら?そこの先の大広間が会場よ」

マーヤさんが、指差した方向を確認すると、マーヤさんにお辞儀をして、厨房を出た。

そして大広間に向かった。


ふと、遠くにトーマ様の姿が見えた。


どこかの伯爵と話しているようだが、その優雅な立ち振る舞いは、うっとり見とれてしまうほどだ。

私も、もっとお話したいな。

私は、少しトーマ様を眺めると、名残惜しかったが大広間に入っていった。



扉をあけると、大広間というだけあって、とても広い立派な部屋だった。

そこには、大きな長いテーブル、シャンデリア、ピアノ、暖炉や絵画などが飾ってあって、とてもゴージャスだ。

ここならパーティー会場にぴったりだろう。

中では何人かのメイドが、掃除したり、テーブルの上にお皿やナイフ、フォークを並べたりしていた。


私も近くにある花瓶から、順番に花を生けていった。半分くらい終わったところで



「私も手伝うわ」


誰かに、話し掛けられた。私は顔をあげた。

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