■王とメイドの切ない恋物語■
誰?

全然、気が付かなかったよ。

トーマ様のこと、好きな人が他にもいたなんて…。

「前に、ここに来たときは、確信なかったんだけど、今日彼女を見てたら、やっぱりトーマ様を目で追ってたわ」


「それは…、誰なんですか?」


ちょっと緊張しながら聞いてみる。

「ちょっと待ってなさい」

エリザベス姫は、ガラス越しに、パーティー会場を見渡した。

誰?

誰なの?

知りたいような、知りたくないような、複雑な気持ちだ。


「うーん、今は見当たらないわね。まぁ、とにかく気を付けなさいよ」

それを聞いて、少し力が抜けた。

「はい、わかりました」

まぁ、考えてても仕方ないか。

トーマ様のこと、信じて頑張ろう。

ね、せっかく両思いになれたんだもんね。

私は、会場内のトーマ様を見つめた。


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