■王とメイドの切ない恋物語■
「なんか、まだ信じられないです」

私は、トーマ様に寄り掛かったまま、ポツリと言う。



トーマ様は、少し笑い、

「わたしもだ」

と、つぶやいた。



心が、あたたかくなる。

トーマ様も、同じ気持ちなんだ。

身分は違うけど、気持ちは同じ。

外の風は、少し冷たいけど、火照った私には、ちょうどよかった。



「リリア。わたしはリリアといるとき、自然な自分でいたいんだ。それでもいいか?」

トーマ様は、少し不安そうな顔で私を見た。

そうだよね。普段は、皆を、この国を支えなきゃって、頑張ってるんだもんね。

私といるときぐらい、リラックスして、自然なトーマ様でいてほしいよ。

気取らなくっていいよ。

あの優しい、まーくんのままでいいよ。
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