■王とメイドの切ない恋物語■
エリックに、あんな話を聞いたせいか、トーマ様に無性に会いたくなった。

トーマ様、会いたいよ。

少しで良いから、会いたい。

夕方、思い切ってトーマ様の部屋に行ってみた。

コンコン

「どうぞ」

中から声が聞こえた。

「失礼します」

私が部屋の中に入ると、トーマ様は、大臣と何か打ち合わせ中だった。

「あ、お忙しいところ申し訳ございません。また、日を改めてお伺いします」

私、本当タイミング悪いよ・・・。

私が部屋を出ようとすると、




「ちょっと待って」

トーマ様の声が聞こえた。

「大臣、ちょっと席を外してくれないか?」

「はい、ではまた後ほど」

大臣はそう言うと、部屋を出ていった。




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