■王とメイドの切ない恋物語■
「え?あ、あのっ いや、大丈夫です 普通にできます!たぶん…」

私が慌てて言うと、トーマ様は、うつむいたまま、

「じゃあ、せめて二人の時は、敬語はなしにしてくれないか?自然な、リリアが見たいんだ」

と言い、こっちを不安そうに見つめてくる。

くーっ

可愛い。可愛すぎる、トーマ様。

私の胸は、キュンキュンしっ放しだ。

こんな可愛いトーマ様見たら、私もがんばるしかないよ。

「わかりました!じゃなくって、わかったよ、トーマ様。二人の時は、普通に話そう。ね、だからそんな顔しないで」

私がそう言うと、トーマ様は、ニヤリと笑った。

あーっ もしや…。

「ひょっとして・・、トーマ様、わざと落ち込んだふりしてた?」

「あははっ ばれたか」

トーマ様は、笑いながら逃げる。

「もうーっ トーマ様ったらーっ」

私も、追い掛けた。

周りに、私たちの笑い声がこだまする。

トーマ様にも、こんな一面があったんだ。

トーマ様の新たな一面を見ることができて、ますますトーマ様の事が好きになっちゃうよ。

まだまだ、私の知らないトーマ様があるのかも。

もっとトーマ様の事が知りたいよ。

トーマ様の全部が知りたい

真面目なトーマ様も、可愛いトーマ様も、そして優しいトーマ様も全部好き。

私は、笑いながら振り返るトーマ様を見ながら、そう思った。

この事をきっかけに、トーマ様との距離が、ぐんと近づいたような気がした。



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