■王とメイドの切ない恋物語■
しばらく公園内を話ながら、散歩していたら、この前、トーマ様が告白してくれた、噴水にたどり着いた。

「また、あそこに座ろうか」

トーマ様が、ちょっと照れ笑いしながら、噴水を指差した。

「うん」

2人で噴水のふちに座ると、あの日を思い出してしまう。

トーマ様も同じことを考えているのか、少し顔が赤い。


「あれから、まだ1週間くらいなんだな」

「うん」

私は、遠くの花を見つめた。

「あの時、本当に…うれしかったよ。トーマ様、ありがとう」

私は、言ってて恥ずかしくなってきた。

トーマ様は、うれしそうに微笑んだ。

「俺、今、すごい幸せだよ」

「私も」

私がつぶやくと、トーマ様が、そっと私を抱きよせた。

私は、しばらくトーマ様の胸に頭をあずける。

あったかい。

トーマ様の、鼓動が聞こえてくる。

トーマ様も、私と同じくらい、ドキドキしてる。

私は目を閉じて、しばらくトーマ様の心臓の音に、耳を傾けた。

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