■王とメイドの切ない恋物語■
夕方。

仕事が終わると、こっそりトーマ様の部屋に向かった。

コンコン

ノックすると、トーマ様の声が聞こえる。

私は部屋に入っていった。




「リリア」

トーマ様が、近づいてきて、私を抱き締める。

「トーマ様」

私も、トーマ様の背中に腕を回す。

あー、幸せだ。



「リリア、ごめんな。専属メイド、上手く断れなくって」

トーマ様は、申し訳なさそうに私を見た。

「いいの。ちゃんと出来るか、少し不安だけどね」

「リリアなら大丈夫だよ。ただ、ラノスとずっと一緒っていうのがな」

「どうしたの?」

私が首をかしげると

「やっぱり、他の男とリリアが、ずっと一緒にいるのは不安だよ。何もないといいが」

やっぱりトーマ様、心配してくれてるんだ。

うれしいよ。

「ありがとう。たぶん大丈夫だよ」

私は笑った。

「たぶんって何だよ。あんまり心配させるな」

トーマ様が、優しく私の頭を撫でた。



その時、

コンコン




誰かが、ドアをノックした。

私とトーマ様は、ドキッとして、ドアを見た。

時間外に、私がトーマ様の部屋にいるのって、不自然だよね?

どうしよう…



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