■王とメイドの切ない恋物語■
いつもと雰囲気違う・・?

「こんなことしてたら、襲われても文句言えないぞ」

トーマ様の指が、私の唇をなぞった。

私は真っ赤になって、手を握り締める。

トーマ様が、だんだん近づいてくる。

くるっ。

私は全身に力をこめ、目を閉じた。




次の瞬間

チュッ

私の額に、軽い感触が起こった。

「え?」




私が拍子抜けしていると、

「そんなに強ばらなくていい。大丈夫。リリアがいいって気持ちになるまで、何もしないから」

トーマ様は、起き上がり、笑って私を抱き寄せた。

「トーマ様…」

トーマ様の気持ちが嬉しかった。

大切にされてるって、すごく伝わってきた。

私は、トーマ様にぎゅっと抱きついた。

トーマ様は、私を大切そうに抱き締めながら、

「俺、心配だよ。リリアほんわかしてるから。ラノスになんかされそうになったら、絶対逃げろよ」

私は頷いた。

そっか。

トーマ様だから、こうやって大切にしてくれてるけど、他の人は、わからないものね。

専属メイド、2週間か。長いな。

「何もないと良いんだが…」

トーマ様は、すごく心配そうだ

そうだよね。ラノス様も男だもんね。

そんなことになる可能性、ゼロじゃないもんね。

油断しないようにしなくちゃ。

うん。




私は、その後、少し話をして、トーマ様の部屋を後にした。

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