■王とメイドの切ない恋物語■
私は、茫然とする。

何で?

何で、また2人でいるの?



「ジュリア、また後で来てくれ」

「はい」

ジュリアは笑顔で、トーマ様にお辞儀して去っていった。



また後でって何?

なんか、すごいいい雰囲気に見えちゃったよ。

トーマ様とジュリア、何してたの?

疑っちゃいけない。

だけど…。




ジュリアを見送ったトーマ様は、こっちを振り向く。


そして、冷たい目でこっちを見た。

何で?

そんな顔しないで…。

トーマ様の、冷たい顔、初めて見た。

私を…、そんな顔で見ないで。

涙が出そうになる。



あっ


トーマ様の視線は、私とラノス様のつながれた手に向けられていた。

「あのっ、これは…」

ラノス様が、私の言葉をさえぎる。

「リリアが好きなんだ。そばにいて、本当に癒される。これからもずっと一緒にいたい」

トーマ様は、氷のような表情で話を聞いている。


絶対誤解してるよ。


どうしよう。


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