■王とメイドの切ない恋物語■
私は、びっくりしてジュリアを見た。

「失恋って?」

ジュリアは、廊下の壁に、もたれながら

「昨日、リリアとラノス様が部屋に入ってきたとき、私、思い切ってトーマ様に告白した所だったの」

ジュリアは、こっちをむいた。

そうだったんだ…。

だから、2人、いつもと違う雰囲気だったんだね。



「私さ、なんとなく、わかってたんだよね。リリアとトーマ様のこと」 

私は、気まずそうに、床を見た。




わかってたんだ。

だから、確認のために、前、トーマ様のこと好き?って聞いてきたのかな?

ごめんね、ジュリア。

答えてあげられなくて。

まだ誰にも言えないの。

本当にごめん。


「でもさ、リリア、ラノス様と手をつないでたじゃない?だから、トーマ様が嫉妬して、ひょっとしてって思ったんだけど、やっぱりダメだった」

ジュリアは、天井を見つめた。

「あれは…」

「わかってる。扉開けるとき、リリアが「嫌、はなして」って言ってるの聞こえたもん」

そうだったんだ。


「リリア達がいなくなった後に、トーマ様の部屋に行ったの。そしたら、愛してる人がいるから、ごめんって言われちゃった」

ジュリアは明るく振る舞った。


何ていっていいか、わからないよ。


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