■王とメイドの切ない恋物語■
「そうだ、リリア。来月誕生日らしいな」

え?

「どこで、それを?」

トーマ様に、言った記憶はないぞーっ。


「今日、廊下でメイドの子が、すれ違うとき、来月の5日は、リリアの誕生日なんだけどなーっ!って、物凄い大きな声で独り言、言ってたんだよ」



・・・。

それって…、間違いなくチチリさんだ。

そんな事するの、チチリさん以外、考えられない。

もー、チチリさんったら。

私がトーマ様に誕生日のこと、言ってないって言ってたから、気をきかせてくれたんだね。

ありがとう。

伝え方が、チチリさんっぽくていい。

かなり笑える。

うぷぷぷ。

私が、笑いをこらえていると



「リリアの誕生日の日、午後からなら、なんとか時間、作れそうだから、どこか行かないか?」

私の目が輝いた。

「いいの?本当にいいの?凄く嬉しい」

「じゃあ、決まりだな。昼ご飯終わったら、馬小屋に来てくれ。マーヤには、俺から言っとくよ」



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