■王とメイドの切ない恋物語■
「着替えるの、寝室使っていいから」

トーマ様が、寝室を指差した。

「うん」


私は寝室に入り、ドアを閉めて、着替え始めた。

あー、やだもう。

私、何、緊張してるの?

頭を切り替えなきゃ。

何もなくても、一緒に寝るってだけで、やっぱり緊張するよ。

絶対眠れそうにないよ。




そうこうしてるうちに、着替え終わった。

「トーマ様、着替えたよ」

私は、ドアを開けた。



トーマ様も、寝間着に着替えていた。

お互いの姿を見て、恥ずかしくなる。

「なんか、照れるな」

「うん」



・・・・。



「はっ 歯磨きして寝ようか」

「そっ そうだね」

なんだ、この2人の緊張感。

トーマ様も、緊張してるんだ。

私と同じだ。

そう思うと何だかおかしくなる。

トーマ様も、緊張するんだね~。

うふふふふ。

なんか、可愛い。


「リリア、何か楽しそうだな」

「えー?そう?」

私は、そう言いながらもニコニコしてしまう。



歯磨きも終わり、後は寝るだけだ。

ベッドの前に立ち、お互いに目が合う。

「どうする?」

「どうしよう?」



・・・・。

「俺、やっぱり向こうのソファーで寝るわ」

トーマ様が、部屋を出ようとする。

「待って。そんな、悪いよ。私がソファーで寝る」

私は、トーマ様の服を引っ張った。

「ダメだよ。リリアはベッドで寝ろ。俺は平気だから」

トーマ様は、絶対、ゆずらないつもりらしい。

んー、どうしよう。

トーマ様をソファーで眠らすなんてできないよ。


ということは…


「じゃあ一緒に…寝る?」

私は、言った後に真っ赤になる。

言っちゃった・・・。

トーマ様も、少し赤くなる。

「いいのか?」

私は、小さく頷いた。


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