■王とメイドの切ない恋物語■
私達は、あの時はこうだったよねとか、この時は、こうやって励ましてくれたよねって、しばらく懐かしい思い出を語り合った。




「じゃあ、そろそろ寝ようか」

トーマ様が優しく微笑んだ。

「うん」

私は目を閉じた。

でもすぐトーマ様が気になって、またトーマ様を見た。

トーマ様って、本当に紳士。

普通だったら、なんかしてくるよね。



少し向こうで、トーマ様は、目を閉じていた。

この距離が、なんかさみしいな。

遠い。

トーマ様までが、なんか遠い。



「トーマ様…」

私は、小さい声で呼んでみた

「ん?どうした?」

トーマ様が、優しく見つめてくれる。



わがままいってもいいかな?



「トーマ様…、あの、もっとそばによってもいいかな?」



私がそう言うと、トーマ様はうなづき、腕を伸ばして私を抱きよせてくれた。

トーマ様・・。

私は、そのままトーマ様に腕枕をしてもらう。

心臓は大きく脈打つ。

すごくあったかくて、心が満たされていく。

トーマ様、大好きだよ。

私はトーマ様を見上げた。


トーマ様は、私の頭を1回軽く撫で、ひたいにキスしてくれた。

私は嬉しくて微笑んだ。

「リリア、愛してるよ」

「私も」


私たちは、抱き合い、そのまま眠りについた。

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