■王とメイドの切ない恋物語■
朝、5時に目が覚めた。

この時間なら、誰にも会わずに、自分の部屋に戻ることができるだろう。

トーマ様を起こさないように、そっとベッドを降りようとすると、

「もう行くのか?」

トーマ様が、こっちを見ていた。

「ごめん。起こしちゃった?おはよう。今の時間だったら誰にも会わずに帰れるかなと思って」

トーマ様の、寝ている横に座った。



「おはよう。いや、少し前から起きてたよ。そうか。じゃあ、ドアまで送るよ」

トーマ様は、起き上がった。



「いいよ、いいよ。寝てて」

私が断ると、

「いいんだ。少しでも、リリアと一緒にいたいから。送る」

そう言って、トーマ様は私の手を取った。


入口ドアまでなんて、10メートルくらいなのに。

トーマ様の、私への気持ちが伝わってくる。

そんなに思ってもらえて、私って本当に幸せ者だね。

ありがとう、トーマ様。




ドアの前に着くと、私は、トーマ様を見つめた。

「じゃあ、また」

トーマ様が、すーっと頭を傾け、甘い口付けをしてくれた。

「またな」

トーマ様は、笑顔で片手を上げた。




もう・・トーマ様ったら・・。 

朝からドキドキさせないで。

私は照れ笑いしながら、トーマ様にさよならを言い、部屋を後にした。

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