■王とメイドの切ない恋物語■
あの後、チチリさんは、トーマ様の分の朝食も運んでくれて、洗濯物も持っていってくれ、

「後のことは私に任せて!トーマ様が、朝食来ないから、心配されてたけど、うまく誤魔化しといたから。じゃあ、また昼にご飯持ってくるね。2人前」

と言うと、ニヤリと笑って去っていった。



本当にありがとう。

チチリさん。


そっとベッドから起き上がり、熱を測った。

37・5度。

大分、下がったな。

でも、今日はゆっくりして明日は完全復活しなきゃね。

私は、汗をかいたので、パジャマを脱いで、Tシャツに着替えた。

ズボンを、はきかえていると、トーマ様が目を覚ました。

「きゃっ」

「ご ごめん」

トーマ様が、慌てて向こうを向いた。

見られちゃった。

お互い、真っ赤になった。




私は急いで着替えて、トーマ様に近づいた。

「おはよう、トーマ様。昨日の夜は、ありがとう。だいぶ、熱下がったよ」

トーマ様は、私の額に、自分の額をくっつけた。

「本当だ。だいぶ、いいな。でも完全に治るまで、ちゃんと寝なきゃな」

優しく頭を撫でてくれた。

「はーい」


トーマ様は、私と一緒に朝食を食べ、立ち上がった。

「本当、あの子に、お礼言わなきゃな」

チチリさんの事だね。

トーマ様はドアの方に歩き、振り返った。

「じゃあ、今日は、会議が10時から1つあるだけだから、また昼頃くるから。しっかり寝とけよ」

「うん、ありがとう」

私は、トーマ様を見送ると、また眠りについた。


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