■王とメイドの切ない恋物語■
いざ、言うとなると緊張する。

トーマ様を、ちらっと見た。

トーマ様も緊張しているみたいだ。



「俺が言ってもいいか?」

トーマ様が聞いてきたので、私は、うなづいた。




「リリアさんのお父さん、お母さん。私はリリアさんと、結婚したいと考えています」

お父さんと、お母さんは真剣に耳を傾けている。

「リリアさんは、優しくて、思いやりがあって、そして何より一緒にいて、とても安らぐんです」

トーマ様の言葉を聞き、私も嬉しくなる。



「リリアさんを、絶対に幸せにします。どうか私達の結婚を、お許しください」

トーマ様は、深々と頭を下げた。

私も一緒に、頭を下げる。




少し、沈黙があり、そして

「わかりました。顔を上げてください」

お父さんが、口を開く。



顔を上げ、お父さんとお母さんの表情を見ると、とても穏やかな、いい顔をしていた。



「あなたがリリアの夫になるなら、文句の付けようが無いですよ。二人で幸せな家庭を築いて下さい」

お母さんも、うなづく。




「ありがとう!お父さん、お母さん!」

私は立ち上がり、お父さんとお母さんに抱きついた。

「ありがとうございます」

トーマ様も、すごく嬉しそうだ。

よかった。本当によかった。

私は、心から、ほっとした。




「さー、硬い話は終わりにして、みんなでのんびりしましょう」




お母さんが、笑顔で立ち上がると、妹たちを呼びに行った。

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