■王とメイドの切ない恋物語■
第11章 二人の未来

遠征

12月に入り、風は冷たく、一気に冬っぽくなってきた。



明日からトーマ様は、国外の会議に出席するため、1週間、城をあける。

すごく、寂しいよ。


会えなくても、お城のどこかにいる、会いに行こうと思えば会える、そんな状態だったら、寂しさも少し和らぐのに。

国外に行ってしまったら、会いたくても絶対に会えない。

そう思うと、寂しさは募るばかりだった。





仕事が終わり、早速トーマ様の部屋に向かった。

扉を開けると、トーマ様が、うれしそうに振り向いた。

「リリアだと思ったよ」

「え?」

「もうノックの仕方で、リリアだってわかるよ」

トーマ様は、得意気だ。

「なんじゃそりゃ」

私は可笑しくなった。



「トーマ様。1週間も会えないなんて、寂し過ぎるよ」

と、呟いてみた。

「俺も同じ気持ちだよ。リリアを、連れていきたいくらいだ」


連れてってもらえるなら、行きたいよ。



「ついていっちゃ、ダメなんだよね?」

私は、遠慮がちに聞いてみる。

トーマ様は、少し寂しそうな表情で、

「ああ。国外に出るということは、とても危険なことなんだ。命を狙われる可能性もある。だから、リリアはここで俺の帰りを待っててほしい。ごめんな」

「うん、いいよ。待ってる」

そうトーマ様には言ったけど、余計に不安になる。

命を狙われる可能性もあるって、トーマ様も同じ事が言えるんだよね?

トーマ様に、もしものことがあったら、私、耐えられないよ…。

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