■王とメイドの切ない恋物語■
「リリア。リリアの写真が欲しい」

「え?写真?」

トーマ様は、うなづいた。

「写真があったら、離れてても、頑張れるから」

私は、その素直な言葉に、嬉しくなった。

そうだね。

「うん。私も、トーマ様の写真が欲しい」




トーマ様は笑うと、机の上のカメラを持ってきた。

「これで、2人の写真を撮ろう」

トーマ様が持ってきたのは、ポラロイドカメラだった。


これなら、すぐに写真になって、出てくるもんね。





私は、トーマ様に寄り添う。

ツーショット写真なんて、すごい嬉しいよ。

何回も見てしまいそう。

いい顔して写らなきゃね。

半目とかだったら、絶対へこんじゃう。

そんな写真は、トーマ様に持っていてほしくないよ。

まばたき、厳禁だね。




私は、まばたきしないように、カメラに向かって微笑む。

カシャッ ガーッ


カメラから、写真が出てくる。




少し待って、写真を見てみる。

「なんか、こうして見ると、照れ臭いな」

「うん」

トーマ様と、見合わせて笑う。



「もう1枚、撮る?」

私が聞くと、

「次は、違ったポーズで撮ろうか」

トーマ様は、そう言って私の後ろに回る。

何だろう。

ドキドキ。

そして私を後ろから抱き締め、そのままシャッターを押した。

「わーっ もう。撮るなら言ってよ~」

トーマ様は、笑っている。




しばらくして写真を見てみると、トーマ様が愛しそうに私を抱き締め、私が嬉しそうに笑ってる、そんな写真になってた。

2人とも、凄く自然で、いい笑顔で写ってた。

「これ、リリアが持ってて」

トーマ様が、渡してくれる。

「ありがとう」


「寂しくなったら、お互い、これ見て頑張ろうな」

トーマ様は、そう言うと、最初に撮った写真をポケットにしまった。

「うん」



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