■王とメイドの切ない恋物語■
私達は、その後、2人で寄り添って、しばしの別れを惜しんだ。


「じゃあ、明日から気を付けて行ってきてね」

「ああ」


本当は、部屋に帰りたくない。

でも、トーマ様は、明日から長旅。

ゆっくり寝て、体力を貯えていかなきゃね。





部屋まで送ってもらい、最後に少し抱き合った。

「リリア、行ってくるよ」

トーマ様が、優しく私を見る。

「いってらっしゃい」

私は笑顔で、さよならを言った。





凄く寂しいけど、それはきっとトーマ様も一緒だよね。

頑張らなくちゃ。



私は、さっき2人で撮った写真を、もう1回見る。

2人とも、すごく、幸せな顔で写っている。



どうか、どうか、無事に帰ってきてください。

何も、ありませんように。

この幸せが、崩れませんように。


私は、そう祈りながら、眠りについた。


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