■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様が出発して、2日目の夜。



そろそろ、目的地に着いたかな。

そうぼんやり考えながら、ベッドに座る。

…。

トーマ様。

寂しいよ。

会いたいよ。

まだ2日目なのにね。



昼間は仕事して忙しいから、少しはいいけど、夜って、なんか寂しくなる。



私は、2人で撮った写真を見つめる。

もう何回見たか、わからない。



こんなんで、1週間乗り越えられるの?

あー、もっと強くならなきゃね。



私はベッドから立ち上がり、窓際に移動した。

空には、三日月が浮かんでいた。


向こうでトーマ様も、この月を見てたりするのかな…?



コンコン

ノックする音が聞こえて、我に返る。

「はい」

返事しながら、心のどこかで、トーマ様だったらいいのにって思ってしまう。

そんなの、ありえない事なのにね。


部屋に入ってきたのは、チチリさんだった。

「あ、チチリさん」

「リリア、今、大丈夫?」

「うん」

何だろう?

「今から、私の部屋に来ない?エリックとかも来るしさ」

こうやって1人でいるより、ずっといい。



私は立ち上がった。

「行く、行く」

チチリさんは、嬉しそうに笑い、

「じゃあ、行きますか!」

と、歩きだした。

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