■王とメイドの切ない恋物語■
チチリさんの部屋に着くと、中にはエリックとジュリアが座っていた。

ジュリアとは、あの一件以来、かなり仲が良い。

チチリさんも一緒に遊んだりしてたので、今では、すっかりお友達だ。


「さーて、何する?」

チチリさんが、見渡す。

「私、トランプ持ってきたんだよね」

ジュリアが、トランプを取り出す。

「じゃあ、これで勝負しようか!勝った人から、ここのお菓子1つずつ貰えるって事で」

「おっしゃーっ 絶対負けないぜっ」

「私もーっ」

こうやって、みんなで集まってゲームするのって、すごい楽しい。


私達は、遅くまで、トランプを楽しんだ。



ふとジュリアが、

「あ、リリア。おめでとう!すごいしゃない!」

私に向かって言う。

え?

「何が?」

私が聞き返すと、私の、左手の薬指の指輪を指差した。

「あっ。これかー。そうなんだ。ありがとう」

私は、笑顔でお礼を言った。



ばれちゃったか。

このメンバーは、私とトーマ様のこと、公認だから大丈夫なんだけどね。




チチリさんが、乗り出す。

「何?何ー?あー!婚約指輪じゃん。リリア、本当に?あー、信じらんない。ついに、そうなるんだ!おめでとう」

チチリさんは、抱き締めてくれる。

「ありがとね」

私は、チチリさんの肩に頭を乗せる。


「そっかー、ついにかー。おめでとう」

エリックも、微笑んでくれる。


みんなに祝福してもらえて、すごく嬉しい。

ありがと。みんな。



時間も時間だし、そろそろ、お開きにすることにした。

「じゃあ、また明日」



みんなにお別れを言って、チチリさんの部屋を後にした。

少し歩くと、エリックが走って追い掛けてきた。


「どうしたの?」


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