■王とメイドの切ない恋物語■

負傷

あれから、毎日、寂しくなったらトーマ様がくれた手紙を読んで、なんとか1週間を過ごした。


今日はトーマ様が、ようやく帰ってくる日。

マーヤさんが言うには、夕方に帰ってくるらしい。

夕方が待ち遠しいよ。

早く会いたいな。

一目、顔が見たいよ。

今日は時間が過ぎるのが、やけに遅く感じる。

トーマ様、今ごろ、どこら辺にいるのかな。

私は、仕事をしながら、そんなことばかり考えていた。




お昼になり、みんなで食堂に向かった。

ランチを食べていると、突然、ドーンと、すごい揺れを感じた。

「何?」

「地震?」

私達は食べるのを止め、立ちすくんだ。

まだ少し揺れが続いている。

マーヤさんが、

「みんな。落ち着いて。庭に非難しましょう」

「はいっ」



私達は、庭に移動した。


庭に着く頃には、揺れは納まっていた。

「よかったー。怖かったね」

チチリさんが、近寄ってくる。

「うん、あんなに揺れたの、初めてかも」

怖かった。

余震とか、ないといいけど…。




マーヤさんが、手を叩く。

「はい、みんな聞いて。多分、色々な物が、割れたり落ちたりしてるだろうから、目についた所から、片付けてちょうだい」

みんな、うなづく。

「揺れは納まったけど、まだまだ油断しないように。じゃあ、解散」

マーヤさんが、そう言うと、みんな、それぞれお城に戻っていった。




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