■王とメイドの切ない恋物語■
「トーマ様が怪我!?どういうこと?無事なの!?大丈夫なの!?」

私は、チチリさんに詰め寄った。

「…わからない。今、門の所に着いて、部屋に運ばれてたわ。トーマ様、服とか血で染まって、グッタリしてて…」

チチリさんは、青ざめて震えている。



!!!

私は目を見開く。

血!?

血で染まる?

どういうこと?

重傷なの?

わからないって何?

いつ怪我したの?


私は、血まみれなトーマ様を一瞬想像して、ゾッとした。

涙が、にじんでくる。

嫌だ。嫌。

そんなの信じない。


トーマ様が…トーマ様が、そんなことになるなんてありえないもの。

頭が、現実を否定する。





「リリア…早く。早く行ってあげて!」


チチリさんに、背中を押される。



私は無意識に走りだす。


何で?

何でトーマ様が?


トーマ様、無事なの?大丈夫なの?意識はあるの?

あぁ、どうしてこんなことになったの?

私は無我夢中で、トーマ様の部屋に向かった。


部屋の前に、マーヤさんがいた。

「マーヤさん!」

「リリアちゃん!」

私が扉を開けようとすると、マーヤさんが、私を止めて首を振った。

「今は、入らないほうが良いわ」




「は?どういうことですか?」

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