■王とメイドの切ない恋物語■
どこ!?トーマ様はどこ!?

涙で、部屋が霞んで見える。

私は涙を拭き、寝室の扉を開いた。




「トーマ様!」

ベッドには、痛々しく包帯をまかれた、トーマ様が横たわっている。



隣に座っていた、ドクターが振り向く。


「トーマ様は?トーマ様は無事なんですか!?」

涙が止まらない。

あぁ、神様!

どうしてトーマ様は、こんな姿に…




ドクターは、トーマ様を、じっと見つめる。

私は、その場で涙を流しながら、立ち尽くす。




「トーマ様は、全身にガラスを浴びて、血を大分失っています」

私は、涙を拭いながら、うなづく。

「今、ガラスを全て取りのぞき、深い傷は縫った所です。後は様子を見るしかありません。感染症を起こさないといいですが…」



あぁ、トーマ様。

痛かったよね。

苦しかったよね。

何もしてあげられなくてごめん。

本当にごめん。



私が代わってあげたい。


トーマ様が苦しむ所なんて見たくないよ。


私はトーマ様に近づく。




「ドクター。私に何かできることは、ありますか?何でもやります。トーマ様の為なら、何でもできます」


「これから、熱を出すかもしれない。付き添ってあげて、変わったことがあれば、すぐに連絡して下さい」

「わかりました」

私は、うなづき、涙を拭いた。




出来る限りの事をしよう。


トーマ様、がんばって。

私がついてるから。

何があっても、ずっとそばにいるから。




私はトーマ様の手を、そっと握った。

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