■王とメイドの切ない恋物語■
トーマ様は、その夜、やはり熱を出した。

額に汗を浮かべ苦しそうに顔をゆがめている。



ドクターを呼んで、注射と解熱剤を出してもらう。


トーマ様が、こんなに苦しんでるのに、何で私は何もできないんだろう?

悔しくて、また涙が、こぼれてくる。



私は必死に、トーマ様の体を冷やした。


上半身は、ほとんど、包帯で巻かれていて、痛々しい。




早く、熱が下がって…。

私は祈るような気持ちで、一晩中、看病をし続けた。




夜中にマーヤさんが、代わるわと来てくれたけど、少しでも、トーマ様のそばにいたかったから、お礼を言って断った。


トーマ様が、こんなに苦しんでるのに、私だけ休むなんて出来ない。

そんなの無理だよ…。




私は再びトーマ様の手を握った。


頑張って。

頑張って、トーマ様。


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